今年こそファーストローズ!バラを育ててみよう。
バラが好きで育ててみたいなーと思いながら、苗を手に入れるに至らず毎年春をスルーしてしまう、という方に向けて。
私は10年以上バラを育てていますが、最初に買った苗は今も花を咲かせてくれます。

これは私のファーストローズ、10年目のディオレサンスというデルバール社のバラです。それほど大きな花は咲かないのですが、驚くほどのベルガモットとゼラニウムの爽やかで穏やかな香りを放ちます。花は咲き進むと赤みが落ち着いて徐々にラベンダーのような色に変わります。

これは現在の姿。3月に入って目を見張る勢いで新芽を吹いています。
バラが好き人にはぜひ一度育ててみてほしいと思うんです。
なぜならバラの本当の魅力は、育てて開花して、咲いてからの変化も含めて付き合って初めてわかるから。
花屋で売っている切り花もうつくしいですが、芳醇な香りをもつ強香種はあまり出回りません。微香の方がずっと花持ちがいいからです。
そして咲いてすぐの香りの素晴らしさ。香水と同じで、香りの成分には飛びやすいものと長く香るものがあります。日を浴びて飛んでしまう前のフレッシュなバラの香りは育てている人だけが享受できるよろこびです。
バラの大きな魅力である香りを堪能するには育てるしかない。
でも手がかかる、病気になりやすい、そんなイメージがあるかも知れませんが、育てやすい強健な品種もたくさんあります。
葉と花のチェック、定期的な追肥と薬の散布は必要ですが、広いお庭じゃなければ、薬もこういうスプレーボトルでシューってするだけで大丈夫です。
お庭がなければベランダで鉢で育てることもできます。我が家もベランダに植木鉢を並べています。ここでは初めてでも育てやすく、特に香りがいいバラをご紹介します。
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ビジュリーセレブレーション
2002年 デビッドオースチン作 イングリッシュローズ。
カップ咲きの大輪で花の色はサーモンピンク。
花びらの裏側がほのかにイエローがかり、見る角度によって色合いが違って見えるので、飽きずにいつまでも見てしまう危険な花です笑。
強く深いフルーツ香。レモンとラズベリーが感じられます。ジャムになりそうな甘い香り。
丈夫で病気になりにくく、よく育つ品種です。
スコットランドのグラスゴーで行われた香りのコンテストで優勝、一般の人気投票でも一位に選ばれた経歴を持ち、 エリザベス女王の即位50周年であるゴールデンジュビリーの記念に生まれたので、ジュビリーセレブレーションと名付けられています。
イングリッシュヘリテージ(ヘリテージ)
1984年 デビッドオースチン作 イングリッシュローズ。
カップ咲きの整った姿に魅せられるヘリテージ。最もうつくしいイングリッシュローズのひとつと言われます。
初めてバラ園で嗅いだこの花の香りは忘れられません。
甘くスモーキーなミルラ香(没薬)にアプリコットやリンゴ、桃のようにいろんな果物の印象が混ざり合った香り。
淡いピンクの花びらは薄く、咲いてしまうと花持ちは2日ほどですが、この香りを嗅ぐためなら構わないと思えます。花付きはいい品種です。
ヘリテージは遺産という意味です。
シャリファ・アスマ
1989年 デビッドオースチン作 イングリッシュローズ。
透明感のあるピンクの花は、先進むとクリーム色にうつろい、姿も浅いカップ咲きからオールドローズのようなロゼット咲きに変化します。
白ぶどうをイメージして作られたという強いフルーツ香。
強香種が多いイングリッシュローズの中でも特に香りがいいと言われる品種の一つ。
ややうどん粉病に弱いけれど、花は繰り返しよく咲きます。
シャリファ・アスマはオマーン国の女王の名前。
ハーロウ・カー(ハーロー・カー)
1994年デビッドオースチン作 イングリッシュローズ。
混じり気のないローズピンク。これこそバラ色。バラ色の日々です。
浅いカップ咲きの中輪の花は、バラと比較しても返り咲き性に富んでいます。
オールドローズの特徴を受け継いだ強いダマスク香。
コンパクトで鉢植えに向く強健種です。トゲは多めなので注意。
ハーロウ・カーはイギリスのヨークシャー地方にあるガーデンの名前。
クイーンオブスウェーデン
2004年デビッドオースチン作 イングリッシュローズ。
この花は中香で、紹介してきた強香種ほど香らないのですが、花の形があまりにもかわいいので特別に載せてます。
包み込むような中輪のカップ型から浅いカップ咲きへと移り変わり、花色は柔らかいアプリコットピンクからソフトピンクへと変化します。まろやかなミルラの香りがします。
まっすぐ上に伸び、飛びぬけて丈夫でよく茂る、とても耐寒性のある品種です。トゲが少なく、花は摘み取った後も日持ちがするので切り花にも向いています。
イギリスとスウェーデンの友好条約が結ばれて以来、350年を記念して生まれたバラです。
アブラハム・ダービー
1985年デビッドオースチン作 イングリッシュローズ。
カップ型の大輪の花は、アプリコットピンクから咲き進むとオレンジがかってきます。
レモンやグレープフルーツ、アプリコットが混ざり合うフルーツ香にシナモンやクローブのスパイシーさも感じられます。
花季が長く、丈夫で作りやすいバラ。
産業革命の進展に寄与したイギリスの製鉄業者の名前から命名。
ナエマ
ここまでイングリッシュローズびいきだったので、あと2種はフレンチローズを紹介します。
1998年 フランス・デルバール社作。
ふんわりとしたパールピンクのカップ咲きの大輪。スプレー咲きで、次々と開花するので長く鑑賞できます。
香りはレモングラスがトップに香り、ローズとフルーツの芳醇さ。
四季咲きで非常に強い品種です。お庭ではアーチなどに仕立てて、お庭がなければ大きめの鉢に強めの剪定で鉢栽培もできます。
ゲランの香水の名から命名されたナエマ。2006年ぎふ国際ローズコンテストで銀賞とベストフレグランス賞を受賞した香りはお墨付きです。
1979年に発売された香水のナエマはフローラルオリエンタルの香り。
ローズ ポンパドゥール
最後に2009年作出のデルバールローズをもう1種類。
この花の名前と色は、ポンパドゥール夫人が好みロココ時代に流行したクリアな紫みの赤ピンク「ポンパドゥールピンク」からきています。CMYKで#ee86adくらいの色。
カップ咲きの大輪は、開くにつれて淡いラベンダーピンクのロゼット咲きに変化していきます。
ダマスク香にライラック、梨、スパイスが重なります。
強香種なのに比較的花持ちがいいのも嬉しいポイントです。
耐病性が強く良く茂り、アーチやオベリスク仕立てにすると魅力を最大限に発揮します。強い剪定にも耐えるので、鉢植えでも楽しめます。
ここに紹介したもの以外にもバラはまだまだたくさんの品種があります。
初めてバラを買う方は値段を見て高いと感じられるかも知れません。
でもバラは長い歳月と愛情をかけ、人の手によって交配を繰り返し、色や香りが選び抜かれた作品とも言えるものです。イメージより強い植物なので大事に育てれば、すぐに枯れることの方が稀で、これから何年も一緒に過ごせる植物です。鉢栽培でも毎年冬に切り戻せば大きくなりすぎて育てられない!なんてこともないですよ。
バラの苗を買うなら今の時期です。今年の春こそぜひあなたのファーストローズを見つけてください。